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活動レポート

園長インタビュー:愛着関係の形成と異年齢交流は心の成長につながる

2017年12月19日、京都府京都市伏見区にある「稲荷砂川保育園」で開催したそらべあ発電所寄贈記念式典の後に、園の教育方針や環境教育、式典の感想などについて、社会福祉法人 稲荷保育園理事長の前川 覚(まえがわ さとる)さんと稲荷砂川保育園 園長の前川 喜美代(まえがわ きみよ)さんにお話を伺いました。

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「そらべあ発電所」の設置に応募いただいたきっかけを教えてください

前川 覚理事長)
まず当園の成り立ちをお話させていただきますと、当園は2017年3月以前は京都市が運営する市営の保育所(旧名称:京都市砂川保育所)でした。2017年4月に京都市から社会福祉法人稲荷保育園へ運営が移管され「稲荷砂川保育園」と名称も変更しました。
我々はもともと、隣接するエリアで稲荷保育園という保育園を運営していて、そこは創立67年の歴史があります。稲荷保育園の運営によって培ったさまざまなノウハウを当園にも浸透させながら、日々地域の子育てを支援しています。

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前川 喜美代園長)
稲荷保育園は定員150名の園ですが、稲荷砂川保育園はその半分ほど(在園児数72名)の規模です。ですが、光熱費の明細書を見てびっくりしました。稲荷保育園とほぼ変わらない金額だったんですね。どうにかして節約をしたいと思っていたところ、そらべあ基金さんのプログラムを知り、すぐに申し込みました。
当選のご一報をいただいたときには本当にうれしかったです。直後に開催された親御さんにもご参加いただく園の発表会で、当選の知らせを大々的に告知させていただいたほどです。

 

稲荷砂川保育園では、具体的にどのような環境教育をされているのでしょうか?

前川 喜美代園長)
環境への考え方を含め、教育方針は稲荷保育園と一緒です。まず、紙、電気、食べ物を粗末にしないことを徹底しています。誰もいない部屋の電気は消すように教えることはもちろん、食べ残しが無くなるように、子どもひとりひとりに合わせた配膳をしているんですよ。残さず全部食べるという精神は、人間の基礎でとても重要です。
紙については、園にいる間に使用するおむつは紙おむつではなく布おむつにするように保護者の皆さまにお願いしています。洗浄は布おむつレンタル会社に依頼しています。
紙おむつのほうが便利なようですが、布おむつを使う理由があるんです。布だと洗って再利用ができますので経済的ですし、もう1つ大きなメリットがあります。紙おむつだといつも快適なので“変えて欲しい”と子どももあまり思わないのですが、布おむつだと濡れると不快なので、“すぐに変えて欲しい”と思うようです。そのため、おむつ離れが早くなります。

 

園のモットーを教えてください

222382_03.JPG前川 喜美代園長)
当園では乳児は担当制保育、3歳以降の幼児は異年齢混合保育という保育形態を実施しています。担当制保育というのは、1人の先生が乳児を年齢に応じて3~8人のグループを担当し、そのまま2歳になるまで持ち上がりで担当し続けるという方法です。
“保育園でのお母さん”という表現が一番近いと思いますが、互いに深い愛着関係が生まれますし、子どもの小さな変化も先生が感じ取れるようになります。

3歳以降の異年齢混合保育は年齢別にクラスを分ける保育ではなく、3~5歳までの年齢の異なる子どもを一緒のクラスにする保育です。
異年齢の子どもたちが相互に教えあうことで、年下の子には年上への憧れの感情が生まれますし、年上の子は年下の子に教えたり面倒を見たりすることで思いやりの心が育ちます。
また、成長が早い子は、3歳であっても4歳児や5歳児に混じって遊びますし、成長の遅い年長児も自分に合った遊びや居場所を見つけることができます。稲荷保育園で10年前から異年齢混合保育を取入れたのですが、子どもは心身ともにすくすくと育ってくれています。


222382_04.JPG前川 覚理事長)
近年では兄弟姉妹の数が減り、また、地域の子ども同士が集って遊ぶ機会がなくなっています。一昔前は地域の子どもが集まり、年上から遊び方を学んだり、年上は年下がケガしないように面倒を見たり、限度を教えたりする、という光景が当たり前にありました。実は、これは人間関係の基礎を学ぶ上でとても大切なことだったんです。
異年齢混合保育だと子ども同士が互いに教え合うので、人と関わる力を自然と身につけることができます。
京都市内でこの保育方法を取入れている園は1割もないと思います。この保育形態の実施には保育士に高い技能が求められるので、なかなか難しい保育方法なんですよ。

 

本日の式典では、子どもたちが積極的に参加してくれました。式典の感想をお聞かせください

前川 喜美代園長)
222382_05.JPG子どもたちはとても頑張ってくれていましたね。紙芝居には集中して耳を傾け、そらべあ基金さんによるワークショップでは、積極的に手を挙げていました。

当園では環境を大切にしていくという意思表示である「京都こども議定書」を掲げて環境教育に取組んでいますが、その日頃の行いが子どもたちひとりひとりに浸透し、環境というテーマに興味を持ってくれているからだと思います。

 

そらべあ発電所を今後どのように利用されていきますか?

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前川 喜美代園長)
普段の生活の中に組込んでいきたいです。当園では遊んだ後、おもちゃや本をきちんと片付けることを教えていて、迎えに来られた保護者のみなさんも、子どもが片付け終わるのをしっかりと待つというのが当たり前になっています。
片付けをはじめ、モノを大事にする、電気や水といった資源を大切にする、食べ物を粗末にしない、これらのことは子どもをはじめ、園の先生や保護者の皆さんの生活の中にも根付いていると実感しています。
ですので、そらべあ発電所がどれくらい発電できているのかをパネルを使って視覚的に見せることで、電気の大切さを教えていきたいと思います。

前川 覚理事長)
保育園は幼稚園と違い、あまり高い教育水準を求められないという感覚があるようですが、いずれにおいても、年齢に応じた適切な教育をすることが大切だと思っています。
太陽光発電は光から電気を作るという画期的な技術です。それに自分の目や手で触れ、生活にどのように影響しているかを考えることは、子どもの知的好奇心を強く刺激するはずです。そらべあ発電所を通じて、子どもに「なぜ?」「どうして?」といった好奇心を持ってもらい、大きく成長していって欲しいと思います。当園を卒園した子どもが、さらに新しい技術の発明をしてくれるようになったら、言うことはありませんね(笑)。

 

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貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
同園で開催したそらべあ発電所寄贈記念式典の様子は、こちらをご覧ください。
 


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