2013年8月29日、大阪府にある保育園 平和の園での「そらべあ発電所寄贈記念式典」の後に、式典の感想や園の教育方針・環境教育などについて同保育園・園長の篠崎直人(しのざきなおと)先生にお話を伺いました。
「そらべあ発電所」の設置に応募されたきっかけは―
当園のことを少しお話しますと、当園は開園して40年になります。当時からオイルショック、水質汚染、大気汚染など、子どもたちをはじめとした地域を取巻く環境問題が次々と取上げられてきましたが、そのたびに、「自分たちにできることはないだろうか―」と考えていました。
環境に優しいこと、それは子どもたちにとっても優しいことです。まずは出来ることからやっていこう、ということでいろいろな取組みを始めました。例えば、ゴミ削減のために紙オムツではなく布オムツを使ったり、水質汚染のことを考えて合成洗剤ではなく石鹸をつかったりと、日々の保育の中で出来るところから環境活動を展開しています。
そんな当園ですが、2年前の東日本大震災で電力の問題に直面し、非常時の面からでも、環境の面からでも、太陽光発電の必要性を感じるようになりました。
そんな中、インターネットでソニー損保さんのウェブサイトを見ていた際、「幼稚園にソーラー発電所を☆プログラム」のページに偶然たどり着いたのがきっかけでした。
ウェブサイトを見るまではまったく知らないプログラムでしたので、内容を見て「これだ!」と思い、すぐに応募させていただきました。
園舎はとても明るいですね―
子どもたちに明るく、アットホームに過ごしてもらいたいと考え、園舎の設計には工夫をしています。園舎は4年前に建替えしたのですが、園を建替え前に北欧に行く機会があったのです。北欧は、冬場はほとんど真っ暗な状態でしたが、その環境があってか、向こうの保育園では光の使い方と配色がとても斬新で、非常に明るく感じたのが印象に残りました。そこで改めて光の大切さ、色の大切さを再認識し、北欧の文化を取入れた明るい園舎にしようと決めました。子どもたちには、「昼間のお家」と感じてもらえれば、と思っています。
保育園 平和の園のモットーは―
当園では、子どもたちに「モノを大事に使うこと」を教えることが重要だと考えています。
例えば、記念式典で子どもたちが使用した和太鼓は、酒造会社の使用済みオーク樽をリサイクルして作られたものです。それ以外にも、プールのときには水の大切さを常に教えたり、紙パックや卵パックなどの廃材を利用して作品を作ったりもしています。
雨水の貯水タンクも最近作ったのですが、子どもたちがその水を使って水やりもしています。日々の教育の中で、子どもたちにこれらのことを伝えることで、「モノは大事に使う、大事にすればまだ使える」という考えをもってもらいたいと思っています。
モノを大切にできるようになると、自分と接する人も、環境も大切にできる子どもに育ちます。
『三つ子の魂百まで』と言うように、3歳までに身体で覚えたことはずっと覚えるもの。幼児期は種まき時期であり、人・モノ・自然を大切にする意識を根付かせたい。
小さな花にも目を向け、大事にする。そういう優しい心を持ってほしいと願っています。
「そらべあ発電所」を新たな環境教育に取入れることはできそうでしょうか?―
そらべあ発電所が設置され、発電量が分かる表示器は子どもたちの目に入りやすいところに置くことにしました。どうすれば子どもたちに分かりやすく太陽光について教えられるか、と考えていたのですが、電気は目に見えるものではありませんからね。天気のいい日にはこれだけ発電しているよ、と表示器を見てもらうことで、子どもたちにはお日様が頑張っていることを少しずつ理解してもらいたいですね。
最後に、式典はいかがでしたか?―
明るく元気な式典で、とてもよかったと思います。子どもたちも、とても素直にお話を聞けていたのではないでしょうか。ソニー損保の皆さま、そらべあ基金の皆さま、本当にありがとうございました。
モノを大切にすることは全てにつながります。子どもたちが優しい心をもって相手のことを考えられるように育てば、争いはなくなるでしょうし、園名のとおり、平和な世の中になりますね。―
最後にそう語られた園長先生からは、子どもたちの未来をしっかりと考えられている、熱い気持ちがとても伝わってきました。園長先生、貴重なお話をありがとうございました。