2012年11月28日、宮城県のやまとまちあから保育園での「そらべあ発電所寄贈記念式典」の後に、式典の感想や園の教育方針・環境教育などについて同保育園・園長の髙橋誠子(たかはしせいこ)先生と同園を経営されている会社の代表取締役である髙橋政志(たかはしまさし)さんにお話を伺いました。
「そらべあ発電所」の設置に応募したきっかけをお聞かせください――
(髙橋政志さん、以下、髙橋さん)
太陽光パネルには昔から関心があり、3年前からずっと設置したいと思っていました。当時大型の太陽光パネルの設置を検討しましたが、大規模な設備になるとどうしても初期投資が大きくなってしまい、断念したという過去があります。
去年3月に東日本大震災がありましたが、当園も被災しました。この地域一帯で水道もガスも止まってしまったのですが、何よりも停電が恐ろしく、電気の大切さを実感したことを思い出します。被災の直後は地域の被災された方のために園を開けたこともあったのですが、地域の方のためにも電気があれば…と常々思っていました。そんな時に、市役所からそらべあ基金が「そらべあ発電所」の寄贈先を募集しているという案内をいただいたのです。
太陽光パネル以外にも、園には環境に配慮した工夫がされているのでしょうか―
髙橋さん)
去年の東日本大震災で壊れてしまったのですが、太陽光で温水をつくる設備がありました。毎年夏になると温水を作ってビニールプールに温水をため、子どもたちにプールを楽しんでもらっていました。そのためか、当園の子どもたちは「この水はお日様の力で温められている」と、太陽の力を何となくでも理解してくれているようです。
それ以外にも窓ガラスに熱遮断フィルムを貼ったり、屋上から照明代わりに太陽光を取り入れる天窓を整備していたりします。
やまとまちあから保育園の名前の由来は―
髙橋園長)
当園の名前には、当園の教育方針がつまっています。『やまとまち』は、この地名である大和町を意味しており、『あから』は『あ』⇒明るく・ありがとうの気持ちを、『か』⇒身体は丈夫に・感謝のきもちを大切に、『ら』⇒(自分)らしさを持とう、という幼児期の教育に大切であるこれらの言葉の頭文字をとりました。
式典に参加されてお気づきかもしれませんが、当園の子どもは皆裸足。また、給食もお米・お味噌汁を欠かさない献立にしており、いずれも身体の基礎から強くなって欲しいとの思いを込めて実施していることです。給食に使うお野菜も、園が借りている畑で作ったものを利用しており、子どもたちに食の大切さも教えることができていると思っています。
実際にこれらの取組みをすることで、親御さんからも子どもが丈夫になった、とおっしゃっていただくこともあります。
そらべあ発電所が設置されて、親御さんや地域の方から反応はありましたか―
髙橋さん)
そらべあ発電所の設置工事が完了したのは10月26日と最近なので、実は親御さんや地域の方にはまだお見せできていないのです。
ですが、この発電所が設置されたことをきっかに、園だけに収まらず、住民を巻込んだ地域活動に発展させていくことができれば、と考えています。まだまだ実現は難しいですが、そらべあ発電所に蓄電池を取りつけて地域の非常電源にする、ということへ発展させていくこともできるのではないでしょうか。
今後、「そらべあ発電所」を環境教育に取り入れることはできそうでしょうか――
髙橋園長)
子どもたちにはまず簡単なところから、ということで発電量が分かる表示器を子どもたちの目に届く場所に置くところからはじめたいと思っています。実際に私たちが表示器を見て、「今こんなに発電してる!」と楽しんでいますからね。(笑)子どもたちにも少しずつ自然エネルギーを理解していってもらえれば、と考えています。
園長先生、そして高橋さん、貴重なお話をありがとうございました。