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活動レポート

園長インタビュー:自分で考えて行動する

2012年3月23日、宮城県大崎市のほなみの杜保育園での「そらべあ発電所寄贈念式典」の後に、園長の青沼克之さんに日頃の園の保育方針などを伺いました。

 

自然を活かした外遊びが多い

毎日の園での生活を通して、心と体を鍛える・健康な心と体を作るということを目標に、1歳くらいから、外での活動を開始します。最初は、近くの河川敷にいって土手の上り下りをしたりすることから始め、2歳くらいになると、近くの山に行くようになります。いずれも車で5分とか10分くらいのとても近いところですが、子どもたちの成長にあわせた場所に、週1回ペースで外に行くようにしています。この園のすぐ近くに牛舎があるのですが、そこに歩いて行って牛を見たりもします。こうして、少しずつ行動範囲を広げていき、もう少し大きくなると、車ではなく散歩でも2~3時間は帰ってこないようなことも普通にあります(笑)。

 

徐々にできることを増やす

eco201204_001_01_DSC04294.JPG一昨年から蔵王の登山も始めました。8時頃に出発して園に帰ってきたのは夕方ですから、ほぼ1日かけての外出でした。当日は、夕方園に帰ってきて、そのまま園に泊まりましたから、実際はもっと長いイベントの一部です。

この蔵王の登山は、一般のハイカーが使う通常の登山道を登るものでした。子ども向けのルートというわけではありません。子どもたちは、それぞれ体力や体格に個人差がありますが、速い子は遅い子を待ってあげたり、みんなで歩いているときも「がんばろうね、もう少しだね」とお互いに励ましの声を掛け合うなど、思いやりの気持ちや優しさを見せるようになっていました。

つい先日は、仙台の動物園にも行きました。新幹線に乗っての移動です。ここは自然に囲まれた地域であるがゆえに、電車に乗る機会があまりありません。どこに行くにも車が中心になりますから、電車に乗るという経験がなかなか持てないのです。この地域でも核家族化が進んでおり、保護者も共働きですから子どもと関わる時間が少なく、何か経験させたいと思っていてもできないこともあります。保護者ができること、保育園が関わって経験させることを、整理してカリキュラムを作っています。

 

経験の積重ねで得るもの

このようなイベントのほかに、日々の生活の中でも、子どもたちにわざと失敗させるようなこともしています。例えば、「明日、お弁当と水筒を持ってきなさい」と言います。これを保護者ではなく子どもたちに言います。子どもたちが、保護者に伝えるときに、お弁当のことしか言わなければ、水筒を忘れることになります。もちろん、園ではお弁当や水筒を忘れる子どもがいる前提で準備していますので、実際にはきちんとご飯が食べられるわけですが、子どもたちは“忘れ物”という困った経験をすることで、次に忘れ物をしないためにどうしたら良いかを「自分で考えて行動する」ことができるようになります。ですから、特別の準備が必要なとき以外も、毎日の登園準備は自分でさせるようにしています。自分で準備するということは、先のことを考えて、そこで何が必要かを自分で判断し、行動するということですから。

 

今後の取組みは「もったいない」の推進

eco201204_001_02_DSC04296.JPG近所の畑を借りて、30品目を超える野菜を栽培しています。自然に囲まれた地域に生活していても、毎日口にしている食べ物が、木になっているのか、地中にできるのか、茎の部分なのか・・・実際に知っている子どもは少ないです。ですから、ここで栽培した野菜については、まず子どもたちにどのような姿でなっているかを聞き、畑に見に行きます。実際に畑になっている野菜を見ると、好き嫌いもなくなるんですよ。

こうして、“野菜を種や苗から育てて収穫して食べる”という一連の経験をすることで、食べ物を大事にする気持ちが生まれてきますので、今回、屋根に太陽光パネルがついたことで、電気を大事にする気持ちも生まれてくると思います。まだ、電力会社との手続きが完了していないので実際に電気が作られるところは見ていませんが、発電の様子が見える計器は園児のほか保護者や来園者にも見えるように入り口近くに設置する予定です。

自然に囲まれた環境が当たり前のことだと思っていると、それを大切にする気持ちを持つことが難しくなりますが、この当たり前のことを永続させるためには、「もったいない」と思う気持ちが必要です。今回の太陽光パネルの設置を機に、ほなみの杜保育園ではこの「もったいない」を推進していきたいと思っています。子どもたちにも、それぞれの家庭でどうしたら「もったいない」を実践できるか、自分で考えて行動してもらいたいと思います。

 


「そらべあ発電所」の本格稼働後には、登降園時に「今日はたくさん電気できてるね。お天気がいいからかな」「今日は雨だから電気があんまり作られてないね」といった会話も聞こえてくるかもしれません。毎日太陽が電気を作る様子を間近に見ていたら、太陽のチカラの偉大さを感じるだけでなく、電気を「もったいない」と思い大切に使うことも身についていきそうです。
青沼園長先生、貴重なお話をありがとうございました。

 


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