2012年3月16日、福島県郡山市のアルゴ幼稚舎保育園での「そらべあ発電所寄贈記念式典」開催後に、園の環境教育や英語イマージョン教育について、そらべあ基金の皆さんと一緒に山元園長先生に話を伺いました。
「そらべあ発電所」設置に応募したきっかけは?
(山元先生)新聞で、そらべあスマイルプロジェクトを紹介する記事を見て応募しました。姉妹園にワイズ プリスクール アンド キンダーガーテンもあるのですが、建物の屋根にソーラーパネルを付けることが難しそうだったので、新しく建築したアルゴ幼稚舎保育園で応募させていただきました。
※ 山元先生は、2011年4月に開園した「アルゴ幼稚舎保育園」のほか、「ワイズ プリスクール アンド キンダーガーテン(保育園)」や、小学生を対象とした「ワイズ イマージョン スクール」「GW学童ワイズ」などを運営されています。
環境教育にはどのように取組まれていますか?
(山元先生)環境教育には以前から地道に取組んでいて、園の年間行事に「アースデイ(*)」にちなんだイベントを組込んでいます。アースデイの時期には、全部の姉妹園の2~3歳の子どもたちから小学校4~5年生の子どもたちまで、皆で一緒に自分たちの町のゴミ拾いをします。桜の花などの自然を楽しみながらゴミ拾いをすることもあり、散歩の延長のような感じですね。
また、小学生を対象としたスクールでは、英語教育に力を入れていることもあり、環境ポスターを英語で作っています。ポスターで取上げるテーマは子どもたちが自分で考え、それを英語と絵で表現してもらいます。テーマは、「自転車を使おう(車に乗らないようにしよう)」「水を使わないときは蛇口をしめよう」といった身近なことですね。
ポスター作りがまだ難しい小さな子どもたちに対しては、地球や自然をテーマにしたお絵かきや工作などを通して、環境について考えられる機会を作るようにしています。
(*) アースデイ(Earth Day)とは、1969年のユネスコにおける環境関連の会議で提起された、地球環境について考える記念日で、国連によるアースデイは3月21日とされています。また、アメリカ合衆国上院議員が、1970年4月22日に環境を考える集会の開催を呼びかけたことから、アースデイ集会を4月22日に開催する取組みが全世界に広まり、日本においても毎年4月を中心にアースデイに関する催しが実施されています。
(そらべあ基金)私たちは、そらべあ発電所設置への応募書類で、今お話しいただいたアースデイのイベントについても拝見していたのですが、本当に素晴らしい取組みだと思っています。アースデイの取組みを拝見して、アルゴさんなら環境教育に真剣に取組んでいただけると考えたことも、そらべあ発電所設置候補園に選ばせていただいた理由の1つなんですよ。
日頃の環境への取組みは?
(山元先生)当園では紙をできるだけ使わないようにしていて、たとえば保護者への連絡はすべてメールを使っています。最近の若いお母様方はメールが身近なので、皆さん違和感なく受入れてくださっていますよ。
また、子どもたちには、いろいろなクリーンエネルギーの可能性を知ってほしいと考えていて、近くにある郡山布引風の高原の風力発電施設や三春ダムの展示室の見学に行ったこともあります。
運営されている保育園や小学生向けスクールの特長の1つに英語教育もあります。
(山元先生)アルゴ幼稚舎保育園のほか、姉妹園のワイズ プリスクール アンド キンダーガーテン、小学生を対象としたワイズ イマージョン スクールで、「英語イマージョン教育」を実践しています。ときどき誤解されるのですが、英語イマージョン教育とは英会話を教える教育ではなく、英語を使って自分で考えたり調べたりする力を身に付けるための教育です。「自分で考えたり調べたりすること」が大切なんです。
「自分で考える力」「自分で調べる力」を養うために。
(山元先生)アルゴ幼稚舎保育園、ワイズ プリスクール アンド キンダーガーテン、ワイズ イマージョン スクールには「テーマを自分で選んで学ぶ」プロジェクト教育法があります。これは「考える力」「調べる力」を養うための教育法で、子どもたちは自分が興味を持てるテーマを先生と相談して選び、選んだテーマをもとに学習の対象を広げていきます。
たとえば、「水」をテーマに選んだときは、さまざまな「水」の役割を学ぶため、実際にダムに行って水の働きや流れを調べたりします。「大きさを調べる」をテーマに選び、調べる対象として象が出てきたら、動物園に行って象の足跡を見せてもらい皆で大きさを推測してみるなど、具体的に行動して調べてみるんです。
「自分で考えること」「自分で調べること」は環境教育と相性が良い。
(山元先生) 「自分で考えたり調べたりすること」は、環境教育と相性が良いと思います。
たとえば「クリーンエネルギー」をテーマに選べば、エネルギーにはどのようなものがあるか、どのようにエネルギーを使えば良いのか、エネルギー問題とは何かなど、多方面に展開していくことができますので、考える力・調べる力を養うテーマとして最適です。
設置された「そらべあ発電所」をご覧になっていかがでしょうか?
(山元先生)まだ実際に確認できていないのですが、発電の様子が確認できる液晶パネルについてインターネットで見たところ、とてもわかりやすそうですね。当園や姉妹園の子どもたちが見えるところに置きたいと思います。
※ そらべあ発電所は2012年2月に設置されましたが、3月16日の時点では電力会社との売電契約手続等が完了していなかったため液晶パネルは稼働しておらず、残念ながらこのインタビュー記事の中で紹介することができませんでした。
(そらべあ基金)今回、蓄電池も寄贈させていただいたので、「ソーラーパネルが太陽で電気を作る」→「液晶パネルで電気が作られている様子を確認する」→「作った電気を蓄電池に貯める」→「蓄電池の電気を使う」というエネルギーに関する全体の流れが具体的に確認でき、エネルギー教育にも良いと思います。蓄電池は持ち運びも簡単なので、園のイベントなどでも、ぜひ皆さんで使っていただきたいです。
(山元先生)太陽の力で電気が作られている様子を液晶パネルで確認したり、作った電気を蓄電池に貯めてイベントなどで利用したりすることで、多くの子どもたちや保護者の方に、エネルギーに関心を持っていただける機会を作りたいです。 夏祭りのイベントで、太陽で作った電気を、かき氷製造機を動かす動力として使うのも面白いかもしれないですね。(笑)
最後に・・・
(山元先生)今回ソーラーパネルをいただけたことを本当に嬉しく思っています。寄贈先に選ばれたからには、これからも責任を持って、子どもたちにしっかりと環境やクリーンエネルギーについて伝えていきたいと思います。
山元先生、そらべあ基金の皆様、貴重なお話しをお聞かせいただき、どうもありがとうございました。
【おまけ】
インタビューの後、寄贈記念式典で司会をしてくださった真島先生の素敵な手料理をごちそうになりました。そして別れ際に、かわいらしい子どもたちのメッセージ付きのお土産もいただきました。心温まるおもてなし、本当にどうもありがとうございました。