2011年6月1日、「そらべあ発電所寄贈記念式典」の終了後、豊川保育園(東京都北区)園長の前田糸美さんと、3月まで園長を務め現在は園の役員になられた荻村しをりさん、理事長の田嶋茂子さんに、そらべあ発電所設置へ応募したきっかけや園の環境面での取組みなどについてお話を伺いました。
「そらべあ発電所」の設置に応募したきっかけを―
(荻村さん)この園では、なるべくクーラーのある生活に慣れないようにしてきたんですけど、さすがに去年(2010年)の猛暑はどうにもならず、今日式典を開催した部屋に大きなクーラーを入れたんです。でも、この園には、20年前にこの園舎を建設した当時から、建物の緑化計画があって、屋上緑化や壁面緑化ができるように設計してもらっていたんです。結局、資金難などで実現できないまま20年経ってしまいましたが、クーラーに頼る生活をしないために、昨年この園舎を設計した事務所とゴーヤで緑化する打合せを進めていたところに、ちょうど、北区から「そらべあ発電所」の設置先を募集しているという案内がきたんです。
(田嶋さん)この建物は、屋根に土を盛っても大丈夫なように作ってもらっているんですよ。園庭に芝生を植えることも考えましたが、都内の限られた敷地ですし、毎日子どもが走り回る環境では養生も困難です。だから建物の緑化を考えていたのですが、太陽光パネルの寄贈があるなら応募してみようということで、当時の園長だった荻村先生が書類を書いて応募したんです。
見事に当選しました―
(田嶋さん)たくさんの応募があると聞きましたので、豊川保育園が当選することなんて、ないんだろうなと思っていましたから、とても驚きました。また、設置工事の直後に震災がありましたので、周囲の関心はとても高かったです。ほかの園で園長をしている友人からは、「どうやったら当選するの?」と聞かれたほどです。
(荻村さん)太陽光発電が良いものだとはわかっていても、実際に自分で設置するとなればやはり費用の問題に直面しますので、なかなか踏切れないと思いますよ。今後の「そらべあ発電所」の募集には、ますます応募が増えるのではないでしょうか。
設置工事直後の震災で影響は?
(前田さん)3月の初旬に工事が終わり屋根にパネルが設置されましたが、その直後に震災がありましたので、最終的に電力会社との手続きが完了して稼働を開始したのは、おととい5月30日のことです。まだ稼働し始めたばかりなんです。
今日は曇りですが、ちゃんと発電していますね―
(荻村さん)こうして計器で発電の様子が見えるのと、見えないのとでは違いますね。わかりやすいと思います。稼働し始めたばかりですので、まだまだこれからですけど、まずは大人が関心を持ち始めています。
(田嶋さん)大人が関心を持つことで、徐々に子どもたちにも伝わっていくようになると思います。
計器は窓越しに来園者にも見えますので、送り迎えの保護者も関心をもってくれるかもしれません。ところで、園舎には木材が多く使われているようですが―
(荻村さん)そうです。ここは、子どもが暮らす場所ですから。幼稚園や保育園などの施設では、よくピンク色や水色などを使ったりしますが、私たちは木は木の色、石は石の色と自然の色を大事にして使っています。
(田嶋さん)この床は無垢材でできているんですよ。今は少し床板に隙間がありますが、これから本格的な梅雨の時期になると隙間がなくなります。また、冬の乾燥した時期には隙間が広がります。木は呼吸していますから。
自然を活かして、園の整備をしている―
(荻村さん)園庭には実のなる木、外は生垣を作っていますし、給食では旬のものを食べるようにしています。また、この時期は子どもが外で遊ぶときに虫よけのスプレーをしますが、その虫よけスプレーもハーブで作っています。出来上がった仕組みをそのまま使うのではなく、日々の生活から自然や季節などについて学ぶようにしています。建物の緑化も「そらべあ発電所」の設置が決まったことで一旦休止しましたが、止めたわけではありません。また計画を進めていこうと思っています。
繰返し伝えることでいつかつながる―
(前田さん)電気はわかりづらいですが、発電量や消費量などが計器で見えるとわかりやすいです。大人だけでなく子どもにもわかりやすいと思います。もちろん、子どもによって理解度はそれぞれですが、電気を大事に使うことなど、最初は意味はわからなくてもきちんと伝えていくことが大事だと思います。繰返し伝えていくことで、いつか点と点がつながるように、子どもの中でしっかりとした理解につながっていくと思います。
小さな子どもは日々の出来事を周囲の大人によく話します。
太陽光パネルや計器を毎日身近に見ることで、電気の使い方や太陽光発電のことが家庭での話題の1つになっていけばと感じました。
前田さん、荻村さん、田嶋さん、貴重なお話をありがとうございました。