去る2009年8月10日「環境とCSRと志のビジネス情報誌 オルタナ」編集長の森 摂(もり せつ)編集長を訪問し、「オルタナ」への想い、そして「幼稚園にソーラー発電所を☆プログラム」についてのご意見をお伺いしてきました。
(前回の記事はこちら :「オルタナ」森 摂 編集長インタビュー(その1))
(取材日:2009年8月10日、取材場所:オルタナ編集部)
環境とCSRと志のビジネス情報誌『オルタナ』 の詳細はオルタナのウェブサイトをご覧ください。 URL http://www.alterna.co.jp/
【ソニー損保の取り組みについての感想・期待すること】
(森編集長に当社の取組みについてお話をさせていただき、ご意見を伺いました。)
■ソニー損保が環境問題に取組むきっかけ
ソニー損保 片岡:
今回の取組みを始めるきっかけですが、ソニー損保は99年に開業して、今年09年、自動車保険保有契約件数が100万件を突破しました。この100万件突破という節目をきっかけに、会社として社会貢献について考えていく必要があると考えました。
自動車というCO2を排出する「地球にとっては優しくないもの」の周辺でビジネスをしている以上、地球とクルマとの共存のために、何かしていかなければならないだろうと思ったのです。
ただ、ソニー損保が直接的にCO2そのものを減らすということはできないので、今回まずは100万件のお客様に対して、「ほんの少しだけ車との関わり方を見直してみませんか?」という呼びかけを始めました。
森編集長:
先ほど私が申し上げたこととかなりリンクしていますよね。
ソニー損保 片岡:
そうですよね。
ただ、自動車そのものを否定すると、自動車保険でビジネスをしている当社の存在そのものを否定することになってしまいます。とはいえ、どのような方にも「無駄なクルマの乗り方」が少しはあると思いますので、それをほんの少しだけ見直してみるということを提案したのです。
■「横並びCSRならやめちまえ!」
ソニー損保 片岡:
ソニー損保の自動車保険は「保険料は走る分だけ」というビジネスモデルをとっているため、継続手続時、お客様に1年間に走った距離をお伺いする機会があります。
お客様が事前に当社に申告している1年間の予想走行距離より実際に走った距離が少なかった場合、走らなかった分の保険料は「くりこし割引」という形でお客様に保険料をお返ししています。これは従来から行なっています。
今回の取組みは、お客様の「予想走行距離より実際に走った距離が少なかった」ということに対して、地球環境への負荷を軽減していただいたものとみなして、ソニー損保がこれに呼応する形で、お客様が減らした距離100キロにつき1円を環境保全活動をしている団体に寄付していくものです。
寄付先は、CO2を排出しないグリーン電力の普及活動を推進しているという点で、NPO法人「そらべあ基金」を選定しました。
今回の取組みの大きな目的は、お客様に無駄なCO2の排出を減らしてもらうこと、グリーン電力の普及活動を支援していくこと、この2点です。
森編集長:
寄付額は年間でどれくらいを想定されているのですか?
ソニー損保 片岡:
2009年の3月にスタートして、7月末現在で累計約500万円の寄付額です。1年間で1000万円程度は寄付できればと考えています。
森編集長:
僕はソニー損保さんの取組みを最初に聞いたとき、「逆マイレージ」という言葉が浮かびました。つまり、商品を買えば買うほどポイントになるのが「マイレージ」ですが、使わなければ使わないほどポイントがつく「逆マイレージ」というのは他にはないのではと思います。
ソニー損保 片岡:
他社の事例をいろいろ調べたのですが、お客様が商品を購入するとそれに応じて寄付するという会社が多いですね。当社のような仕組みはあまりないと思います。
森編集長:
そういう意味でいうと、素晴らしいですね。(笑)
ソニー損保 片岡:
確かに多くの自動車保険がある中で、お客様の走行距離に応じて保険料をいただくという形をとっている保険はあまりありませんので、その意味でソニー損保だから出来たというところはあると思います。
森編集長:
これは、モノを売るのが商売の会社にはなかなか難しいです。「乗らない=買わない」ではないから成り立つのですね。そう考えると、保険業界であれば他でも成立するかもしれませんね。
森編集長:
この仕組みはどなたが考えられたのですか?
ソニー損保 片岡:
社内のプロジェクトチームで議論して作りました。
森編集長:
えらいですね!オルタナで最初にCSRを取上げた時に、「横並びCSRならばやめちまえ」という企画を立上げたのですが、見事に、横並びではないですよね。独自性があります。これは大拍手ですよ。(笑)
ソニー損保 片岡:
ソニー損保の本業と関連するという点にはこだわりました。
森編集長:
僕は「コーズ・マーケティング」という言葉が嫌いと以前からよく言っているのですが、環境やCSRの取組みをマーケティングの材料にすることを会社が自分で認めるのはおかしいと思います。「売るためにやっているんです」というニュアンスがどうもしっくりこない。
ここにいるソニー損保の皆さんもおそらく「コーズ・マーケティングですよね」と言われるとあまり良い気持ちはしないと思うんです。
環境やCSRの取り組みはそういうものではないですよね。そのように考えると、ソニー損保の逆マイレージの取組みは、「売る」こととは別のところにあるので良いですね。
(取材日:2009年8月10日、取材場所:オルタナ編集部)